「暑い夏の日」
今年の夏の前半は暑く、下北半島でも、35℃近く気温が上がった日も多かった。
関東以南に住んでおられる方は、たった35度か、とバカにされるであろうが、何しろ、
世界で最も北に住むサルが生息している地域であります。サルばかりでなく、私たち人間
も寒冷地仕様になっておりますので、とくに、気温が高い昼間はバテバテでした。
もちろん、そんな時、利口なサル達は、さっさと涼しいスギ林に逃げ込んで、たっぷりと
気持ちのいい「昼寝」をむさぼっています。
さて、そこで、カモシカはどうしているか、と言いますと、実は、彼らも暑さには
めっぽう弱く、サル以上に活動を停止しております。
昼間、観察に行っても、まず姿を見かける事はなく、ほとんどのカモシカが、休息したり
駄眠(おっと、彼らには無駄、という言葉はありません。失礼)をむさぼっているのが関
の山です。もっとも、彼らの睡眠は夜だけと言うことではなく、採食-反すう-休息-睡眠
というリズムの連続で、昼夜を問わず、これが何度か繰り返されます。
ですから、夏に限らず、昼間に眠る事はありますが、気温が高い夏は、その時間が、
休息を含めて3〜4時間という事も珍しくありません。
従って、この時期、写真を撮影していると、2、3枚シャターを切って、そのまま何時間
も、カモシカに付き合って、居眠りをしたことがあります。ただ、残念ながら、周りを
飛び交う「蚊」が眠り込ましてはくれませんでしたが…。
この時期、沢や海で、脚を水中に着けたまま、じっと動かないカモシカを見かけます。
いかにも気持ち良さそうで、おもわず、こどもの頃、庭先で「行水」をした事を思い出し
ました。周りに「ヨシズ」でも立て掛けてやれば、風情が増すのでしょうが、そこはカモ
シカの世界。我に返り、そっとシャッターを切って、帰路に着きました。
暑い夏の日、活動しているのは、人間ばかり…。
いそやまたかゆき
TAKAYUKI.ISOYAMA 1997