「誕生・ミレニアム」
「ニホンザルとの共生」
脇野沢村に移住して13年が経過した。ニホンザルとの付き合いも、同じ時間を費やしたことになる。
1964年、脇野沢村のひとつの群れが、絶滅の危機の為もあり、個体数保護目的の餌付けがなさ
れて久しい。以降、時間の経過とともに猿害が誘引され、「餌付け」の停止、「一部の群れ捕獲」、
「山への追い払い」、「電気柵設置による共生」という、保護の為の方策が変化しながら36年間続いてきた。
このトピックスコーナーの「サルの住む村」でも経緯をまとめたが、去る5月19日、脇野沢村議
会の「サル被害対策特別委員会」で、新たに「捕獲」が決議された。6月6日の議会で最終判断を待
つことになるが、人とサルとの溝は、深い対立構図のまま方向転換しようとしている。まだ現段
階で最終的な結論にはならないものの、改めて、それぞれの立場の違いや温度差を感じざるを得ない。
すぐ隣にすむ住人として、時には、地域住民と意思の疎通が図れていた時期もあった。しかし、
生息地である「山の変貌」による生活地域の変化は、人との軋轢を産みだし、自然界のバランス
を乱したまま、地域住民の反感を買う羽目にまでいたった。
森の中で、悠々と過ごすかれらを見続け、人々との軋轢も目の当たりに見、何とか「共生」
の道筋を、と想いを込めながら、一枚いちまいシャッターを押し続けてきた。
森さえあれば、という言葉だけが空回りしている。
もう一度、お互いの生活圏を確保し、それぞれの生活を取り戻すことは不可能になってしま
ったのだろうか。智恵ある私たち人間が出来ることは、もう何も残っていないのだろうか。
文責 いそやまたかゆき 2000/06/01