|
2005年9月30日、昨日と同じルートで牛ノ首観察にでかけた。まだ下草が生い茂って見通しが悪く、慎重に足を運んだ。ましてや昨日のきょうである。狂乱の「グレー」の姿がまだ目に浮かび、慎重にも慎重を期した。
ススキの間に何やら異物が見えた。異物というのは植物ではないという意味で、はっきりした形があるわけではない。カモシカの体毛は茶褐色なのでこの時期は、よほど派手に動くか、足音でも出してくれないと見つけられない。
たぶんカモシカのお尻だろうと思って、息を凝らしてじっと待った。「カサッ」。体重の割には軽い音がした。せいぜいコザルの足音程度。ゆっくり動き、姿が出てきた。グレーだった。こちらに気づいているはずだが、下草を食べるのに夢中。「昨日の続きはどうした?」。あえて声を出して気づかせた。グレーはチラッと顔を向けたがすぐ目を落とす。こっちの存在をすでに知っていたのである。何とも気が抜けた。
グレーの背後で別の音がした。はじめに聞いたのはこの音だった。持ち主が現れた。「やっぱり」。鼻筋の黒い、いかにもグレーのこどもらしい小さなカモシカがヒョコヒョコ出てきた。耳が大きく見え、動かなければぬいぐるみ。こどもは興味深げにこちらを見ている。反対にグレーは少し緊張したように見える。昨日のことを思い出しののだろうか?憶測してこちらも少し緊張する。
|