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牛ノ首物語もはやいもので6回目を迎える。とりわけニホンカモシカの「ミドリ」は生まれた年から登場しており、この物語の主的な存在にもなっている。母親の「ムラサキ」は、私が旧脇野沢村に移住した87年から観察をはじめ、00年にミドリを出産してその年に死亡した。つまりミドリは単独で冬を越したことになり、印象に残る登場だった。その後ミドリは牛ノ首で成長し、現在も淡々と暮らし続けている。牛ノ首はミドリにとって育ての母でもある。
2004年にあるテレビ局の企画があった。青森と東京の中学生たちを交流させ、下北の自然の中でふれあいの旅をさせようというもの。そのなかでニホンカモシカとも出会えないかという相談があった。北限のサルたちは集団性ということもあってある程度の集団の圧力には耐えられるが、単独で暮らす物静かなカモシカと賑やかな中学生30名との遭遇をイメージし、「このシーンは無理でしょう」と答えざるを得なかった。もちろんテレビ局も心得たものだが、自然ですから成り行きでいいですよといいながら、密かに期待を持っているのはよくわかった。自然相手はぶっつけ本番に賭けるしかなかった。
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